腎癌
- Category:泌尿器科の主な病気
1. 腎癌の基礎知識
腎癌の原因についてはまだよく分かっていません。しかし、腎癌を発症させる危険因子は肥満、高血圧、喫煙が指摘されています。長期間透析を受けている患者さんも発症のリスクが高いです。また、遺伝子異常(VHL遺伝子:フォン・ヒッペル・リンドウ病:がん抑制遺伝子の変異)でも発生する為、発生しやすい家系がある事も分かっています。腎癌の頻度は10万人辺り10-20人の頻度であり高頻度ではありません。しかし、検診の普及や画像診断技術の進歩で腎癌の罹患数は増加傾向を示しており、死亡数も増加傾向を示しています。(上図)
2. 腎癌の好発年齢
腎癌は男性に多く、また男女ともに70歳以降にピークがあります。
3. 腎癌の症状
最近は、検診で偶発的に発見される事がほとんどでその場合は無症状です。しかし、症状がある場合は血尿、腹部のしこり、脇腹の痛み、発熱、食欲減退、全身倦怠感の症状で出現する場合があります。
4. 腎癌の病期と予後
腎癌は4つのステージに分類されます。ステージ1は腎臓内に限局している場合、ステージ2は腎臓周囲まで浸潤している場合、ステージ3は癌が大血管やリンパ節に浸潤や転移している場合、ステージ4が隣接臓器へ浸潤もしくは遠隔転移している場合になります。
5. 腎癌の治療
ステージに関わらず基本的には手術が治療の第一選択になります。手術も以前は、腎臓すべてを摘出する根治的腎摘除術が主に行われていましたが、近年は腎機能温存の観点から、出来るだけ正常な腎臓を残して腫瘍部分のみを摘出する腎部分切除術が主流です。また、基本的には腹腔鏡手術で摘出するため小さな傷で行えます。ステージ4(進行癌)では、薬物療法がメインもしくは追加治療で行われます。
6. 腎癌の薬物療法
腎癌は、他の癌腫と違って抗癌剤がまったく効果を示しません。その為、免疫療法や分子標的薬等の様々な薬物療法が発達してきた経緯があります。現在の第一選択薬は2000年代後半から登場した主にチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬になります。最近のトピックとして、2016年8月から日本でも抗PD-1抗体(ニボルマブ)が使用可能となり、優れた治療効果が報告されています。
コメントを投稿するにはログインしてください。