腎移植

腎移植とは

腎移植は、ほかの人の腎臓を体の中に移植し、腎臓の機能を回復させる方法で唯一の根治的な治療法になります。脳死、心停止された方から腎臓提供される献腎移植と、親族から腎臓提供される生体腎移植の2つの方法があります。

腎臓移植のメリットとしては透析からの解放、腎不全合併症からの解放、食事制限の緩和、妊娠、出産が可能となること、透析療法と比較して生命予後がよいことなどがあげられます。一方デメリットとしては拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を内服しなくてはならないこと、免疫抑制剤により感染を起こしやすくなること、拒絶が起こった際には、再度腎臓の働きが悪化し透析医療が必要になる可能性があることなどがあげられます。

日本移植学会によりますと、2000年以降に行われた献腎移植、生体腎移植の患者10年生存率はそれぞれ80.2%と93.8%、移植腎10年生着率は66.3%と84.9%であり、それ以前と比べると生存率、生着率ともに向上してります。

熊本大学で2000年以降に行われた生体腎移植の5年生存率は100%、5年生着率は90.9%と良好な成績が得られています。

献腎移植と生体腎移植

①献腎移植

献腎移植は、脳死後または心停止後の方で生前に書面にて本人の臓器提供の意思表示がなされている方、もしくは本人の意思が確認できていない場合はご家族の承諾がある方から腎臓を提供していただき、腎移植を行います。

献腎移植を希望される場合は移植施設を通じて公益社団法人 日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。腎臓の提供者が出た場合、提供者の情報と登録されている方の情報(血液型や免疫学的な情報、透析年数など)の適合度合いを調べて、適合度の高い方に臓器提供がなされます。

②生体腎移植

生体腎移植は親や子、兄弟などの親族、または配偶者から腎臓の提供を受け、腎移植を行います。日本移植学会倫理指針では臓器提供者(ドナー)は、親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)に限定されています。その他、両方の腎臓の働きが正常であること、活動性の感染や悪性腫瘍がないことなどの条件があります。

生体腎移植を希望された場合にはドナー候補者と一緒に移植施設を受診していただき、安全に移植が可能かを調べる事前の検査が必要です。

以前は親から子への移植が一般的でしたが、最近は配偶者間の移植の割合が増加し、ほぼ同じくらいの件数となっています。

生体腎移植の流れ

腎移植ドナー

手術の2日前に入院していただきます。

手術は基本的には腹腔鏡下に行います。腎臓を周囲より遊離して、腎臓の大きな血管を切断し、体外に腎臓を摘出します。5-12mmの穴を34か所、その他に腎臓を摘出するための7cm程度の切開が必要となります。

通常術後1週間程度で退院となります。

腎臓を摘出していますので退院後は定期的な外来通院が必要です。

腎移植レシピエント

免疫抑制剤の発達、腎移植管理の進歩により血液型が一致していなくても腎移植が行えるようになっています。

血液型一致、適合の場合は通常手術1週間程度前に入院していただきます。血液型不適合の場合や、既存抗体がある場合には術後の拒絶反応を起こさないようにするために血漿交換などを行い、抗体を除去する必要があるので手術23週間前に入院していただきます。入院後、免疫抑制剤の内服を開始して手術に備えます。

手術は通常右下腹部切開で行います。ドナーの左腎を提供していただき、右下腹部に移植します。通常ドナー腎静脈を外腸骨静脈に、ドナー腎動脈を内腸骨動脈につなぎ、ドナー尿管を膀胱につなぎます。

通常術後3週間程度で退院となります。

退院後は、はじめは12週間に一度、その後は1か月に1回の外来受診が必要です。

全腎協HPより抜粋