尿路結石症
- Category:泌尿器科の主な病気
尿路結石症とは
腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患です。
結石の存在部位により、腎臓・尿管の結石は上部尿路結石、膀胱・尿道の結石は下部尿路結石に分類され、尿路結石の95%は上部尿路結石です。
食生活や生活様式の欧米化・画像機器普及による診断率向上・高齢化により、年間有病率は40年前と比較すると約3倍(人口10万人あたり134人)に上昇し、男性の割合(男女比は2.4:1)が多いです。結石成分については、カルシウム結石がその大半を占め、尿酸結石や感染結石が続きます。(統計については、2005年第5回尿路結石症全国疫学調査のデーターより抜粋。)
症状
血尿や突然の痛みが典型的な症状です。
腎結石は無症状のうちに経過することが多いですが、尿管内に落下すると、結石による尿流停滞や腎内圧上昇により、背部から側腹部にかけて痛みが生じます。また、腎盂腎炎を合併し、高熱を呈する場合があります。膀胱近くの尿管に位置する結石では、頻尿や残尿感などの膀胱刺激症状を伴うこともあります。
膀胱結石や尿道結石では、膀胱刺激症状や排尿困難などが生じることがあります。
結石の排出時は、排尿時痛や違和感を伴いますが、無症状で排石されることもあります。
検査
身体所見では患側の痛み、尿所見では血尿などから判断し、以下の画像検査により診断します。
・単純レントゲン写真
約90%の結石はレントゲンのみで確認可能。なお、レントゲンに写らない結石(尿酸結石)や、骨盤骨と重なる場合、血管の石灰化と重なる場合は、結石の確認は困難。
・超音波検査
腎や膀胱近くの尿管結石、膀胱結石に有用。また、尿流停滞による腎の拡張有無の確認に
有用。
・CT
レントゲンや超音波検査で確認できない結石の場合、最も有用な検査。尿路以外の腹部所見も得ることができる。
また、血液検査では、腎機能・尿酸・カルシウム・リンなどを測定し、場合によっては尿中の成分や排石した結石成分も分析します。
治療
・痛み時の対応
鎮痛剤の注射・坐薬により、痛みをやわらげます。なお、痛み発作を繰り返したり、消化器
症状が強い場合は、入院が必要になる場合があります。
・自然排石促進
結石のサイズ次第では、自然排石を促進する薬剤や、尿管の緊張緩和を促す薬剤を使用しま
す。
・砕石治療
自然排石が困難と判断される場合、放置すると、結石サイズの増大・腎機能低下・重篤な感染症を引き起こすため、外科的処置が必要となります。それぞれの術式については、結石サイズ・結石の存在部位を考慮し、また適応・メリット・デメリットもあるため、各症例ごとに術式の検討が必要です。また、単独での治療が困難な場合は、ESWL・TUL・PNLを組み合わせた治療も必要です。
1. 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
禁忌:妊婦、出血傾向、抗凝固薬や抗血小板薬内服中
避けたほうが良い症例:サンゴ状結石、結石より下流に尿路通過障害を有する、高度肥満、若い女性の骨盤内尿管結石(卵巣への安全性確立していないため)、腎動脈瘤・大動脈瘤を有する
合併症:腎被膜下血腫、晩期腎機能障害や高血圧
2. 経尿道的結石破砕術(TUL)
良い適応症例:粘膜に埋没した尿管結石、長径10mm以上の骨盤内尿管結石、若い女性の骨盤内尿管結石
合併症:尿管損傷、術後尿管狭窄、術後感染症
3. 経皮的結石破砕術(PNL)
良い適応症例:長径20mm以上の腎結石、サンゴ状結石、尿管狭窄をともなう腎結石
合併症:腎血管損傷による出血、穿刺による肺・胸膜・腸管損傷、尿路損傷、術後感染症
4. 開放手術による切石術(結石摘除術):まれ
5. 腹腔鏡による切石術(結石摘除術):保険適応外
治療終了後
治療前の生活のままでは、5年以内に約50%の割合で再発するとされ、再発予防が重要です。
そのためにも日常生活で気をつけるべきことは、
・1日2L以上の尿量を確保する。
・バランスのとれた食事(減塩、動物性低蛋白食)を摂る。
・メタボリックシンドロームの予防。
です。なお、結石成分の分析結果より、薬物療法による予防が必要なこともあります。
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