尿路感染症
- Category:泌尿器科の主な病気
尿路とは、尿が作られて体外に排出するまでの通り道の総称で、腎臓・尿管・膀胱・尿道のこと指します。
これらの臓器に細菌等が感染し炎症が起こる事を「尿路感染症」と言い、代表的なものとして、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎があります。
多くは尿の出口から細菌が逆行性に入り込み発症します。
感染症を引き起こしやすい背景(尿路奇形、尿路腫瘍、尿路結石、尿道カテーテル留置、前立腺肥大症など)を持つものを複雑性尿路感染症、持たないものを単純性尿路感染症と言います。
尿路感染症は小児、性的活動期、高齢者に多い疾患です。
症状は感染部位に応じて様々ですが、治療の基本は抗菌薬治療です。
【腎盂腎炎】
腎盂および腎臓に細菌感染を起こし炎症が起こります。
基礎疾患のない単純性腎盂腎炎と基礎疾患(尿路奇形、尿路腫瘍、尿路結石、尿道カテーテル留置、前立腺肥大症など)を持つ患者に起こる複雑性尿路感染に分類されます。
症状:
- 悪寒・戦慄を伴う発熱(38℃を超える高熱)
- 患側の腰背部痛
- 嘔気・嘔吐
- 尿混濁、血尿
検査:
- 尿検査:尿中に白血球や細菌がみられる事があります。
- 血液検査:白血球、CRPなどの炎症反応が上昇します。
- 尿培養:感染の原因菌を見つけます。また原因となる菌に有効な抗生剤が何かを判断します。
- 画像検査(超音波検査・CT・尿路の造影検査など):感染症の原因となる基礎疾患等があるかどうか調べます。
治療:
一般的には抗菌薬治療を行います。全身の状態や炎症の程度によっては入院加療が必要な事もあります。
尿路結石による腎盂腎炎の場合には尿の通りをよくするように尿管ステントという管を内視鏡下に挿入することもあります。
【膀胱炎】
膀胱に細菌感染する事で起こり、比較的女性に多い病気です。
急性膀胱炎と慢性膀胱炎がありますが、慢性膀胱炎は自覚症状が軽いまたは無症状のこともあるため、日常生活では急性膀胱炎が問題になることがほとんどです。
<急性膀胱炎>
症状:
- 排尿時痛、排尿後のしぶり感、残尿感、膀胱部不快感、頻尿
- 尿混濁
- 時々血尿がみられる事もあります
- 基本的に発熱はみられません
検査:
- 尿検査:尿中に白血球や細菌がみられます。
- 尿培養:感染の原因菌を見つけます。また原因となる菌に有効な抗生剤が何かを判断します。
- 超音波検査:膀胱炎を起こすような基礎疾患がないか調べます。
治療:
- 抗菌薬治療が基本です。
- 水分を多めに摂取することも大切です。
【尿道炎】
尿道に最近が感染し炎症を起こすものです。
感染の原因としては性行為によることが多く、性行為感染症(STD)とも言われます。原因となる菌は様々ですが、淋菌が原因となって起こる淋菌性尿道炎と、他の菌が原因となり起こる非淋菌性尿道炎があります。淋菌性尿道炎の方が非淋菌性にくらべ症状が強いと言われています。
性行為によって感染するため、予防としてコンドームの使用が勧められます。また、自身だけでなく、同時にセックスパートナーの治療も必要となります。
<淋菌性尿道炎>
症状:
- 排尿時痛、尿道の灼熱感
- 尿道からの膿の排出
- 頻尿
<非淋菌性尿道炎>
クラミジアが原因となる事がおおい
症状:淋菌性に比べ症状軽いといわれています
- 排尿時痛、排尿時違和感
- 尿道掻痒感
- 尿道からのさらさらした分泌物
検査:
- 尿道分泌物の細菌検査
- 血液検査
治療:
- いずれの場合も基本的には抗菌薬治療となります。
- 再感染を防ぐために、パートナーの診断や治療も必要になります。
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