『Genes to Cells』に論文が掲載されました!(西澤 秀和 先生)

西澤 秀和 先生の熊本大学大学院生としての研究成果が『Genes to Cells』に掲載されました。ご指導いただきました馬場 理也 先生、舟崎 慎太郎 先生 に心から御礼申し上げます。

 

本研究では、細胞株と遺伝子改変マウスを解析し、キメラタンパク質PRCC-TFE3の発現が、HIF1αとHIF2αを転写的に発現亢進することによって低酸素関連シグネチャーを誘導すること、PRCC-TFE3によるHIF1αの発現亢進は、ミトコンドリアの酸化的リン酸化を維持しながらTCAサイクルの基質も供給する解糖を促進することによって、細胞のATP産生を増加させること、TFE3-RCCマウスモデルとHif1αおよび/またはHif2αノックアウトマウスを交配させ、Hif2αではなくHif1αがin vivoでの腫瘍発生に必須であることを見出しました。また、これらのマウスの腎臓組織のRNA-seqおよびメタボローム解析から、ケトン体の産生は腫瘍の発生と逆相関すること、TFE3-RCCでは、HIF1α/SREBP1依存性の機序により、de novo脂質合成が亢進されることが明らかになりました。これらの結果からPRCC-TFE3/HIF1α/SREBP1軸を介した協調的代謝シフトが、PRCC-TFE3ががん細胞の代謝を増強し、TFE3-RCCにおける腫瘍の発生を促進する重要な機序であることが示唆されました。ご興味のある先生方はご一読ください。

 

HIF1α Plays a Crucial Role in the Development of TFE3-Rearranged Renal Cell Carcinoma by Orchestrating a Metabolic Shift Toward Fatty Acid Synthesis.

Nishizawa H, Funasaki S, Ma W, Kubota Y, Watanabe K, Arima Y, Kuroda S, Ito T, Furuya M, Motoshima T, Nishiyama A, Mehanna S, Satou Y, Hasumi H, Jikuya R, Makiyama K, Tamura T, Oike Y, Tanaka Y, Suda T, Schmidt LS, Linehan WM, Baba M, Kamba T.

Genes Cells. 2025;30(1):e13195.