『Cancer Medicine』に原田成美 先生の大学院研究成果の論文が掲載されました
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原田成美 先生の大学院研究の成果をまとめた論文が、Cancer Medicine誌に掲載されました。
本研究を粘り強くご指導いただきました諸石寿朗教授をはじめ分子薬理学講座の皆様に心から感謝申し上げます。
Harada N, Niimura M, Sakamoto Y, Nita A, Shimoda M, Wada S, Murata K, Wakao M, Kamba T, Shinchi H, Moroishi T.
Cancer Med. 2025;14(19):e71286.
本論文の要旨は以下のとおりです。ご興味のある方は是非、ご一読ください。
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背景: 金ナノ粒子(GNP)を基盤に、TLR7リガンド・抗原ペプチド・糖鎖を組み合わせた「統合型グリコ・ナノワクチン(iGN)」を開発。糖鎖修飾が免疫応答にどう影響するかを検討した。
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方法: 代表的な糖鎖としてα-マンノースとシアル酸を比較し、MHCクラスI拘束性の卵白アルブミン(OVA)ペプチドを組み込んだiGNを作製。マウスBMDCや腫瘍モデルで解析。
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主な結果:
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マンノース修飾は樹状細胞によるGNP取り込みを促進する一方、シアル酸修飾は取り込みが低かった。
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しかし抗原ペプチドを組み込むと、シアル酸修飾でも取り込みやTLR7シグナル活性化が改善し、炎症性サイトカイン誘導も増強された。
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in vivoでは、両タイプ(マンノース型・シアル酸型)ともに抗原特異的CD8+ T細胞の誘導、細胞傷害活性、腫瘍抑制効果はほぼ同等であった。
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結論: 糖鎖の違いは初期の細胞取り込みに影響するが、最終的な免疫応答・抗腫瘍効果を決定づけるのは抗原ペプチドである。ペプチドが糖鎖の差を「上書き」することにより、柔軟なワクチン設計が可能となる。